シンディ・ローパー「タイム・アフター・タイム」 80年代を代表する永遠のラブソング

洋楽

シンディ・ローパーの代表曲「Time After Time」は、1984年にリリースされた彼女のデビューアルバム『She’s So Unusual』に収録されています。リリースから40年近く経った今でも、世界中で愛され続けているこの曲の魅力はどこにあるのでしょうか。

不朽の名曲誕生秘話

デビューアルバム制作中のプレッシャー

1983年、シンディ・ローパーはデビューアルバム『She’s So Unusual』の制作に取り組んでいました。アルバムの完成が間近に迫る中、まだあと1曲が必要でした。プレッシャーの中、シンディ・ローパーとキーボード担当のロブ・ハイマンは、最後の曲作りに悪戦苦闘していました。

ロブ・ハイマンのひらめき 映画のタイトルから生まれたフレーズ

「Time After Time」というフレーズは、ロブ・ハイマンが映画『タイム・アフター・タイム』のタイトルから着想を得たものです。彼はこのフレーズをシンディ・ローパーに提案しましたが、当初彼女はあまり乗り気ではありませんでした。しかし、最終的にはこのフレーズが曲の核となることが運命づけられていたかのように、名曲「Time After Time」が誕生しました。

シンディ・ローパーの個人的な経験 母親への想いを込めて

シンディ・ローパーは、締め切りが迫るプレッシャーの中で、自身の母親との関係性をヒントに歌詞を書き始めました。当時、経済的に苦労していたシンディ・ローパーは、母親からの金銭的な援助を受けていました。その時の感謝の気持ちや、母親を安心させたいという想いが、歌詞に込められています。

共作が生み出した化学反応

「Time After Time」は、シンディ・ローパーとロブ・ハイマンの共同作業によって生み出されました。シンディ・ローパーの個人的な経験と、ロブ・ハイマンの音楽的な才能が融合し、奇跡的な化学反応を起こしたのです。二人の共作だからこそ、時代を超えて愛される名曲が誕生したと言えるでしょう。

デモテープの誕生からアルバム収録へ

完成したデモテープを聴いた関係者たちは、すぐにこの曲の持つ力に気づき、アルバムへの収録が決定しました。「Time After Time」は、アルバム『She’s So Unusual』からのセカンドシングルとしてリリースされ、全米チャートで1位を獲得する大ヒットとなりました。

ミュージックビデオの制作秘話

「Time After Time」のミュージックビデオは、ニューヨークのペンシルバニア駅で撮影されました。当時としては珍しく、ストーリー仕立てのミュージックビデオとなっており、家出をする娘と彼女を心配する母親の姿が描かれています。このミュージックビデオは、曲の持つ切ない世界観をより深く表現することに成功しています。

切ない歌詞の世界観

「Time After Time」の歌詞は、普遍的な愛のメッセージを歌っています。大切な人がどんなにつらい時でも、いつもそばにいる、という力強い愛情が表現されています。特にサビの部分 “If you’re lost you can look and you will find me, Time after time” は、多くの人々の心に響くフレーズです。誰かを支えたい、誰かに支えてもらいたい、そんな人間の根源的な想いに触れる歌詞だからこそ、時代を超えて共感を呼んでいるのでしょう。

“Lying in my bed I hear the clock tick and think of you” – 冒頭の歌詞が描く情景

曲は、静かな夜のベッドの中で、時計の音を聞きながら大切な人を想う情景から始まります。この何気ない日常のワンシーンから、深い愛情が感じられます。聴く人は、自身の大切な人を思い浮かべ、共感できるのではないでしょうか。

“If you’re lost you can look and you will find me Time after time” – 何度でも何度でも

この曲の核となるフレーズです。「もしあなたが迷子になったら、私を探して。きっとあなたは私を見つけることができる、何度でも、何度でも」という力強いメッセージが込められています。困難な状況に陥っても、必ず支えになる人がいるという安心感は、多くの人にとって大きな支えとなるでしょう。

“If you fall I will catch you, I’ll be waiting Time after time” – いつでも待っている

このフレーズは、無条件の愛を表現しています。「もしあなたがつまずいたら、私があなたを支える。私はいつでも待っている」という包容力のある言葉は、深い愛情と信頼関係を感じさせます。

歌詞全体から感じる普遍的な愛

“Time After Time” の歌詞全体を通して、特定の状況や人物を描写するのではなく、普遍的な愛のメッセージが表現されています。恋人同士、家族、友人など、様々な人間関係に当てはめることができる歌詞だからこそ、多くの人々の共感を呼び、時代を超えて愛され続けていると言えるでしょう。

シンディ・ローパーの歌声の魅力

シンディ・ローパーの特徴的な歌声も、この曲の魅力の一つです。少しハスキーでありながら、力強さと優しさを兼ね備えた彼女の歌声は、聴く人の心を掴んで離しません。「Time After Time」では、その歌声が切ない歌詞と見事に調和し、より一層深い感動を与えています。

ミュージックビデオに見る80年代の空気感

「Time After Time」のミュージックビデオも、曲の世界観を表現する上で重要な役割を果たしています。当時のアメリカの街並みやファッションが映し出されており、80年代のノスタルジックな雰囲気を感じることができます。内容は、母親と娘の葛藤と愛情を描いたストーリー仕立てになっており、曲のメッセージ性をより深く理解することができます。

様々なアーティストによるカバーバージョン

「Time After Time」は、リリース以来、数多くのアーティストによってカバーされています。ジャズ、ロック、ポップスなど、様々なジャンルでアレンジされ、それぞれのアーティストの個性が光るバージョンとなっています。原曲とはまた違った魅力を発見できるのも、カバーバージョンの楽しみ方の一つです。マイルス・デイヴィスエヴァ・キャシディなど、著名なアーティストもカバーしており、この曲の普遍的な魅力を証明しています。

カサンドラ・ウィルソン・ヴァージョン

鬼塚ちひろ・ヴァージョン

マイルス・デイヴィスが吹く「Time After Time」 ジャズ界の巨匠が奏でる新たな名曲

シンディ・ローパーの「Time After Time」。この名曲をジャズの巨匠マイルス・デイヴィスがカバーしたことは、音楽ファンにとって大きな驚きと喜びをもたらしました。

マイルス版「Time After Time」誕生の背景

マイルス・デイヴィスの「Time After Time」は、1985年にリリースされたアルバム『You’re Under Arrest』に収録されています。当時、マイルスはポップソングのカバーを積極的に行っていました。より幅広い層にジャズの魅力を伝えたい意図があったのでしょうか。シンディ・ローパーのオリジナルバージョンとは全く異なるアレンジで、マイルスならではの解釈が光る一曲となっています。

ミュートトランペットが奏でるメランコリックな旋律

マイルス版「Time After Time」で最も印象的なのは、彼のミュートトランペットの音色です。独特の静けさと哀愁を帯びた音色が、原曲の持つ切ないメロディーをさらに際立たせています。まるで夜空に浮かぶ星のように、美しく儚い旋律が聴く者の心を捉えます。

洗練されたアレンジと即興演奏

原曲はシンセサイザーを多用したポップなアレンジですが、マイルス版にはジャズらしい洗練されたアレンジが施されています。ベース、ドラム、サックス、そしてマイルスのトランペットが織りなすハーモニーは、原曲とは異なる深みと奥行きを生み出しています。マイルスの特徴である即興演奏も聴きどころの一つです。自由自在にメロディーを奏でる彼のトランペットは、まるで歌っているかのような情感を漂わせています。

アルバム『You’re Under Arrest』における位置づけ

「Time After Time」が収録されているアルバム『You’re Under Arrest』は、マイルス・デイヴィスの後期作品の中でも特に人気が高い一枚です。他にもマイケル・ジャクソンの「Human Nature」など、ポップソングのカバーが収録されており、当時のマイルスの音楽性を知る上で重要な作品となっています。アルバム全体を通して、ジャズとポップスが見事に融合した新たな音楽の世界が広がっています。

マイルス版「Time After Time」の影響と評価

マイルス・デイヴィスのカバーによって、「Time After Time」はジャズのスタンダードナンバーとして新たな息吹を吹き込まれました。多くのジャズミュージシャンがこぞってこの曲を演奏するようになり、原曲とは異なる魅力を持つ名曲としてジャズの歴史に刻まれることとなりました。マイルス版「Time After Time」は、ジャズとポップスの垣根を越えた名カバーとして、今もなお多くの音楽ファンに愛聴されています。

マイルスが奏でる「Time After Time」の永遠の魅力

マイルス・デイヴィスが奏でる「Time After Time」は、原曲の良さを残しつつ、ジャズの魅力を存分に味わえる名カバーです。彼のミュートトランペットの音色、洗練されたアレンジ、そして即興演奏は、聴く者の心を揺さぶり、深い感動を与えます。時代を超えて愛される名曲がジャズの巨匠によって新たな生命を吹き込まれた瞬間を、ぜひ体感してみてください。

「Time After Time」が愛され続ける理由

「Time After Time」はシンディ・ローパーの力強い歌声、切ない歌詞、そして普遍的な愛のメッセージが、多くの人々の心に響き続けています。様々なアーティストによってカバーされていることからも影響力の大きさは分かります。「Time After Time」は世代を超えて、これからも私たちの心に寄り添ってくれるでしょう。

いさぶろう
いさぶろう

定職もなくぶらぶらしていた若い頃、シンディはNYの日本人レストランの女性オーナーに声をかけられ、働かせてもらったそうです。「いつか売れる日が来るから頑張りなさい」と励まされ、遠く異郷の地を強く意識しました。

東日本大震災が発生し、ほとんどの海外アーティストが日本公演を中止する中、日本を励ましたいとツアーを決行したのがテノール歌手のプラシド・ドミンゴと、シンディ・ローパーでした。

「私が留まってパフォーマンスをすることで、みんなにちょっとした気晴らしをしてもらおうと思った。元気を出してもらいたかった」

一宿一飯の恩義などとは古臭い言葉でしょうが、彼女が”日本”への「恩義」を忘れなかったように、私たちも命の危険を顧みず応援してくれた真の友人たちを、いつまでも忘れずにいたいものです。

マイルスがこの曲を選びもう一つの”オリジナル”としたのも、偶然というより慧眼けいがんの至りと感じるのです。

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