【社畜必見】「月曜日が永遠に続く」地獄から抜け出せ!映画『MONDAYS』が刺さる5つの理由

映画
  1. 永遠に終わらない「月曜日」に、あなたは気づいていますか?
    1. この記事を読むことで得られるベネフィット(メリット)
    2. 映画『MONDAYS』の概要:82分で描く絶望と希望のオフィス
  2. 爆笑必至!まず観るべき3つのポイント
    1. 82分の短尺でサクッと鑑賞できる「タイパの良さ」
    2. 「鳩の合図」がカギ!日常に潜むコメディ要素の宝庫
      1. 『MONDAYS』の注目すべきコメディ要素
    3. 「マキタスポーツ部長」の愛らしさがすべて!
  3. 低予算で実現したアイデアの勝利と日本社会への風刺
    1. 「集団型タイムループ」が描く日本の会社構造への皮肉
      1. タイムループを「上申」する不条理
  4. 竹林亮監督が語る制作秘話とメッセージ
    1. 企画・制作の背景とメッセージ
    2. 演出・撮影・編集のこだわり
    3. 【Q&A】タイムループ脱出の真の原因と温かいメッセージ
      1. Q. 部長はなぜタイムループに気づかなかった?
      2. Q. タイムループの原因が「ブレスレット」から「漫画」に変わった経緯は?
      3. Q. この映画が伝えたかったメッセージとは?
  5. 『MONDAYS』と合わせて観たいタイムループ作品
    1. 恋はデジャ・ブ(1993年/アメリカ)
    2. ハッピー・デス・デイ(2017年/アメリカ)
    3. リバー、流れないでよ(2023年/日本)
    4. パーム・スプリングス(2020年/アメリカ)
    5. ブラッシュアップライフ(2023年/日本/ドラマ)
  6. 月曜日を愛おしく思えるようになるために
    1. 映画『MONDAYS』が教えてくれたこと
    2. また月曜日がやってくるから、どう過ごそうかな!

永遠に終わらない「月曜日」に、あなたは気づいていますか?

毎週月曜日が来るたびに、心が重くなる瞬間がありますよね。朝起きて仕事をして、気づけばまた週末が来て、あっという間に過ぎ去り、また月曜日が来る。そんな日々の繰り返しを、人生で経験したことが誰しもあるのではないでしょうか。まるで人生そのものが、退屈なループに閉じ込められているような感覚に陥ってしまうものです。

もし、それが比喩ではなく、本当に「同じ一週間」を繰り返すタイムループだったらどうでしょう。しかもそのループから抜け出す鍵を握るのが、一向に気づいてくれないあなたの上司だったら?ちょっと笑っちゃうけど、考えただけで背筋が凍るような気もしますね。

今回ご紹介する映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(2022年公開)は、そんな現代社会の「あるある」をテーマにした新感覚のオフィス・タイムループ・ムービーです。

この記事を読むことで得られるベネフィット(メリット)

この記事は初見の方から熱心な映画ファンまで、全ての読者層に向けて書かれています。

読者層 得られる体験と知識
映画初心者 82分のコンパクトさで、タイムループというジャンルの面白さを手軽に体験できます。共感性の高い「社畜あるある」コメディとしても、純粋に楽しめます。
映画ファン・上級者 低予算・ワンシチュエーションの中で、脚本とアイデアがどのように勝利したのかを深く分析できます。日本の企業文化やタイムループ作品の歴史における、本作の斬新な立ち位置を理解できます。

映画『MONDAYS』の概要:82分で描く絶望と希望のオフィス

本作は、広告代理店「Zコミュニケーション」の小さなオフィスを舞台に繰り広げられる物語です。

激務の中、主人公の吉川朱海(円井わん)は後輩の遠藤(長村航希)と村田(三河悠冴)から、「僕たち、同じ一週間を繰り返しています!」と衝撃の告白を受けます。他の社員たちも次々とループに気づいていくものの、脱出の鍵を握る永久部長(マキタスポーツ)だけは、いつまで経ってもこの事実に気づいてくれません。

タイムループの原因は、部長が身につけている怪しげなブレスレットだと推測されます。社員たちは一丸となって、あの手この手で部長に事実を伝え、ループから脱出しようと奮闘するのですが……。

監督はドキュメンタリー映画『14歳の栞』で知られる竹林亮氏。脚本は、竹林監督と夏生さえり氏による共同脚本(TAKE Cチーム)です。

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』は82分という短い上映時間にもかかわらず、観客に大きな満足感を与える「アイデアの勝利」の傑作として、口コミでロングランヒットを記録しました。国内外の映画祭でも高い評価を受けており、第32回日本映画批評家大賞では、新人監督賞と編集賞を受賞しています。

爆笑必至!まず観るべき3つのポイント

映画を普段あまり観ない方や、タイムループものは難しそうだと感じている方もご安心ください。この映画に小難しさは一切なく、オフィスあるあるとテンポの良さで、すぐに作品世界に入り込めますよ。

82分の短尺でサクッと鑑賞できる「タイパの良さ」

本作の大きな魅力の一つは、上映時間がたった82分という点です。長時間の映画に疲れてしまう方でも、まるで良質な舞台劇を観るように集中力を途切れさせることなく、一気に楽しめます。

短尺にもかかわらず物語の濃密さは非常に高く、鑑賞後には「こんなに短いのに、すごく満足した!」と感じる人が多いのです。テンポが非常に良いため、「タイムループでもっと見たい!」と感じるほどです。

「鳩の合図」がカギ!日常に潜むコメディ要素の宝庫

タイムループものの定番として、主人公たちがループに気づくための「トリガー(合図)」が登場しますが、本作の合図は「鳩」です。

月曜日の朝、窓ガラスに鳩が激突する音が、ループの記憶を呼び覚ますきっかけとなります。この鳩の合図を、社員たちが次の仲間に伝える際の 「鳩ポーズ」 がなんともシュールで、癖になります。

『MONDAYS』の注目すべきコメディ要素

鳩の合図と鳩ポーズ:ループを教える際の社内での不審な動きが笑えます。
崎野さんのノリノリ電話:クライアントである木本事務所の崎野雄大(池田良)の、ノリノリすぎる着信音と「さっきっのでっす〜♪」という挨拶は、頭から離れない面白さです。
味噌汁専用炭酸タブレット(みっタブ):社員たちが必死にプレゼン資料を作っている、意味不明すぎる架空の商品コンセプトも秀逸です。

「マキタスポーツ部長」の愛らしさがすべて!

本作のキャスティングは主演の円井わんさんをはじめ、有名俳優ばかりではありません。それがかえってリアルなオフィス感を生み出しています。特にマキタスポーツさん演じる永久部長の存在感が際立っています。

部長は能天気に見える明るい性格で、激務の社員を苛立たせることもありますが、その憎めない愛らしさが物語の鍵となります。

「滑っているのにずっと同じギャグをやる」メンタルやループに気づかないポンコツぶりが、笑いを引き立ててくれます。後半には彼の優しさや懐の深さも垣間見え、見終わった後にはきっと彼のファンになっているはずですよ。

低予算で実現したアイデアの勝利と日本社会への風刺

映画の構造や制作背景を深く知ることで、本作の評価が単なる「面白いコメディ」に留まらないことが理解できます。竹林亮監督の映像センスや緻密に練られた脚本に注目してみましょう。

「集団型タイムループ」が描く日本の会社構造への皮肉

従来のタイムループ映画は『恋はデジャ・ブ』のように、「主人公一人」がループに気づき孤独に戦うものが主流でした。しかし『MONDAYS』は、社員が次々とループに気づいていく「集団型タイムループ」という新構造を採用しています。

そして彼らがループを抜け出すために選んだ方法は、日本の会社員なら誰もが知っている 「上申制度(報連相)」 です。

タイムループを「上申」する不条理

この、実に『会社員』的な設定が、物語をよくある『タイムループもの』に留めていない。それぞれが『1つ上の上司にどうやってタイムループの事実を認識させるか』を、苦心しながら考えるのだ。

下っ端の社員がいきなり永久部長に話しても、真剣に取り合ってもらえません。そこで遠藤と村田は、吉川→森山→平→部長という順番で、ピラミッド型の組織構造を一つずつ攻略していく作戦を立てます。「超常現象に、極めて現実的で非効率な日本企業文化を適用する」という不条理さ。そこが最大の面白さであり、痛烈な社会風刺にもなっています。

特に、クールでシゴデキな先輩社員・平(髙野春樹)が部長を納得させるために行う「プレゼンのシーン」は、名シーンとして観客に愛されています。ループを重ねるごとに服装は私服からスーツへ変わり、パワポのクオリティも格段に向上し、ついには部長の予想される反論すら予習済みという完璧さです。「タイムループ中に仕事のクオリティが高くなる」という描写は、ループの恩恵をポジティブに描き、働く世代への共感を呼んだようです。

竹林亮監督が語る制作秘話とメッセージ

竹林亮監督はCM制作の出身であり、その映像センスがこの低予算映画のクオリティを支えています。本作のアイデアの着想から撮影、編集、そして作品が持つテーマやメッセージに至るまで、多岐にわたるコメントを残しています。

企画・制作の背景とメッセージ

着想のきっかけ: 共同脚本の夏生さえり氏の実体験が元になりました。制作スタッフの上司がSNSで、「つくるぞ」「めちゃくちゃつくるぞ」と繰り返し投稿していたのを見て、「荷を少し下ろし、つくりたいものをつくってほしい」という思いが生まれ、それが「上司が原因でタイムループしている」という後半の展開案に繋がったそうです。
作品に込めたメッセージ: 監督自身も忙殺されていた時期があり、この作品を通じて「“今”という時間を疎かにして本当に良いのか?」と考えるきっかけになってほしいメッセージが込めらえています。
「夢」や「後悔」: 永久部長(マキタスポーツ)のキャラクターには、「夢」や「後悔」の捉え方が詰まっています。
制作規模: 当初は30分の短編予定でしたが、「一週間タイムループ」の設定で内容が膨らみ、80分に収めるために編集で工夫しました。
映画への向き合い: CM制作出身の監督にとって、長く残る映画だからこそ「もっと真摯に向き合おう」と思うきっかけになったそうです。

演出・撮影・編集のこだわり

カメラワーク: タイムループの繰り返しを分かりやすく見せるため、カメラワークは複雑にせず、パターン化してから徐々に崩していく手法を採用しています。
演技: 「日常の延長線上でタイムループが起きていること」を表現するため、キャストには日常的なリアリティを意識してほしいと伝えました。
編集の妙: タイムループの合図となる「鳩が窓にぶつかる瞬間」の皆の顔が、編集していて面白かったそうです。
参考に: 目覚めのシーンで皆の意識が繋がる感覚は、映画『インセプション』(10)のラストの目を覚ますシーンを「参考にした」そうです。
主演・円井わん氏: 冒頭で「イヤなやつ」に見える主人公・吉川朱海を、観客が惹きつけられる絶妙なバランスで演じてくれたため、監督は「円井さんが出てくれることが決まったところで『演出は終わったな』と」ユーモラスに語っています。

映画の冒頭や、繰り返される日常の描写は、まるで短いシズル感のあるCMのようにカット割りが効いていて、テンポが良いのです。

ほぼワンシチュエーションであるオフィス内での撮影は、俳優陣にとっても混乱の連続でした。

「今日は何週目の何曜日の撮影なんだ?ってなってました」(円井わん)

撮影現場では、ループに気づいた登場人物の衣装やメイクが微妙に変わるといった複雑な設定があり、大きな表で認識を共有していたそうです。俳優たちは、繰り返す演技の中で「つかんだ」感覚を表現し、監督はそれを自由な演技に任せていました。

【Q&A】タイムループ脱出の真の原因と温かいメッセージ

この映画の核となるのは、タイムループを脱出させる真の原因とメッセージ です。

Q. 部長はなぜタイムループに気づかなかった?

A. 部長は能天気で憎めないキャラクターですが、彼が気づかなかったのは、彼こそが「タイムループの原因そのもの」だったからです。彼が心の中で抱える「諦めた夢への後悔」が、無意識のうちに「締め切り(週の終わり)が来ない世界」を生み出していました。

Q. タイムループの原因が「ブレスレット」から「漫画」に変わった経緯は?

A. 社員たちは当初、オカルト雑誌『ムー』をモデルとした『ヌー』の知識を元に、部長の「パワーストーンブレスレット」が原因だと推測し、破壊を試みますが失敗します。ここで、実は誰よりも早くループに気づいていた地味な事務員の神田川聖子(島田桃依)が、真の原因が部長の「描きかけの漫画」であることを示唆します。

この展開は、制作スタッフの「上司の栗林さんにつくりたいものをつくってほしい」という個人的な気持ちがベースになっています。

Q. この映画が伝えたかったメッセージとは?

A. 終盤、社員たちは仕事そっちのけで、部長の未完の漫画を完成させるために協力し合います。主人公の吉川はこの協力体制の中で、自分が未来のキャリアアップばかり考え、目の前の同僚や「今」の時間を疎かにしていたことに気づき、考えを改めます。

仕事の効率化や生産性の追求だけが全てじゃない。夢や創造性、そして仲間を思いやる心こそが、私たちを日々の繰り返しから救い出してくれる。

「高望みの夢に必ずしも幸せがついて来るものでは無いし、本当の幸せは日々の小さな積み重ねにある」 という、温かくも現実的なメッセージが込められているのです。最終的にループを脱出する際も、吉川は憧れの転職先ではなく、「ここに残る」という選択をします。これは、「今」「目の前の仲間」を大切にするという、彼女の成長を示しています。

『MONDAYS』と合わせて観たいタイムループ作品

『MONDAYS』はタイムループの古典作品へのオマージュも散りばめられています。ここでは、本作と共通のテーマや、対照的な切り口を持つタイムループの名作・関連作品を5本ご紹介します。

恋はデジャ・ブ(1993年/アメリカ)

タイムループ映画の古典にして金字塔と呼ばれる作品です。 傲慢な気象予報士が同じ一日を何度も繰り返す中で、自己中心的な生き方を反省し、人間的に成長していく物語です。『MONDAYS』が持つ「ループを通して主人公が啓蒙される」というテーマの源流として、ぜひ比較して観てほしい作品です。

ハッピー・デス・デイ(2017年/アメリカ)

『MONDAYS』の劇中でも言及される、タイムループ×ホラー/コメディの傑作です。 誕生日に殺される女子大生ツリーが、ループを繰り返しながら犯人を突き止めるために奔走します。殺されても記憶がリセットされるため、彼女はループを恐れず、大胆な行動を取るようになります。「ループを利用してスキルアップするという点で、『MONDAYS』で吉川が仕事のクオリティを上げる姿と重なりますね。

リバー、流れないでよ(2023年/日本)

『MONDAYS』と同じく、低予算・ワンシチュエーション(舞台)の日本のタイムループ映画 の系譜に位置します。 京都・貴船の旅館を舞台に、従業員や宿泊客がたった2分間のループに閉じ込められる群像劇です。ヨーロッパ企画 (上田誠氏主宰)の緻密な脚本が光り、2分間の使い方をめぐるドタバタ劇が爆笑を誘います。短時間ループによる緊迫感と、集団で協力して脱出しようとする姿勢は、『MONDAYS』と通じるものがあります。

パーム・スプリングス(2020年/アメリカ)

こちらは「ループに留まる」という新しい価値観を提示した作品です。 砂漠のリゾート地での結婚式で、男女二人がループに巻き込まれます。一人はループから抜け出そうとし、もう一人はループを永遠に楽しもうとします。
従来のタイムループものが「脱出」を絶対的な目標としていたのに対し、
「この終わらない日常(ループ)の中でどう幸せに生きるか」を問いかける点で、『MONDAYS』が提示した「今を大切にする」というメッセージと響き合います。

ブラッシュアップライフ(2023年/日本/ドラマ)

2023年に大ヒットした、「人生やり直し」をテーマにしたタイムリープヒューマンコメディです。 安藤サクラ演じる主人公が、来世のために徳を積むべく、人生を何度もやり直す物語。働く女性の日常に根ざした設定と、バカリズム氏による緻密な脚本が絶賛されました。タイムループ/リープものが日本でブームとなっている現状を象徴する作品であり、「日常×時間移動」という点で『MONDAYS』と並べて語られることが多いです。

月曜日を愛おしく思えるようになるために

映画『MONDAYS』が教えてくれたこと

映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』は単なるSFコメディという枠を超えて、現代社会で働く私たちに「今」という時間と「目の前にいる仲間」 の大切さを教えてくれる作品でした。

この映画の始まりは、脚本家の上司が繰り返していた「今日もめちゃめちゃ仕事するぞ!」というツイートという、あまりにもリアルな「あるある」です。激務で時間が流れる感覚を失い、「今」を疎かにしてしまう私たちへの、監督と脚本家からの温かいエールだったのかもしれません。

もう仕事なんて放り出してしまいたい。 そう思う日々でも、ループを抜け出す鍵は、ブレスレットのような超常的なものではなく、「チームで協力し、誰かの夢や後悔をやり遂げる」という、極めて人間的な行動にあったのです。

また月曜日がやってくるから、どう過ごそうかな!

映画のラスト、彼らはループを脱出しました。ですが監督や脚本家は、「これからまた『ループじゃん』って思う日常が来るかもしれない。でも、その時でも目の前のことや人を大事にしていれば大丈夫だ」というメッセージを込めているようです。

映画を観終わった後、きっとあなたは、月曜日を迎える憂鬱な気持ちが、少しだけ前向きな気持ちに変わっているはずです。

「また月曜日がやってくるから、どう過ごそうかな!」

そんな風に思えたら、この映画はあなたの中で、タイムループから脱出する役割を果たしてくれたということでしょう。

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最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。あなたの日常に、ちょっぴり愉快な「鳩の合図」が訪れることを願っています!

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